◆非常事態宣言が発令、経営者はどうするか?
お世話になっております。株式会社日本防災デザインの代表・志村邦彦です。昨日国の非常事態宣言が発行されました。
今般のコロナウイルスの事態が、また1段階進み、新たなフェーズに入ったといえます。
少し前までは、「国や自治体がどのような対応をするかが分からないので、企業の方針も決まりにくい」と言う声を伺っておりました。
しかしながら、非常事態宣言が出た今、各企業の方針がしっかり定まったとも思えません。出勤停止、テレワーク、雇用継続等の企業活動に対する要請はわかりましたが、それで各企業が今後どのような経営方針・企業活動を行っていくかについては、明確になった企業は少なく、むしろ混迷の中にあるのではないかとご推察します。
政府の行う企業支援策についても、それは中小・零細企業にとっては、役に立つかもしれませんが抜本的な企業経営の立て直しになるわけではなく、延命効果に留まるだけかもしれません。
今、経営者がやるべきこと
前回前々回のメルマガにも書きました通り、この未曾有の時代においては、従業員の安全を守ろうとすれば企業の社会的責任に支障が出るかもしれませんし、休業をさせれば収益が上がらず給与の支払いに支障も出るかもしれません。
多くの二律背反が生まれてくる中で何を選択するかについては、既にお送りしたメルマガのとおり、経営者がどのように社会的責任を果たすのか、その「正義」を求める価値観によって主体的な企業活動が決まってきます。
その回答を導く問いが、前回メルマガにも書きました「責任あるリーダーシップへ5つの質問」であり、再度掲載させていただきます。
・「自分は現状を取り巻く環境を十分把握しているか」
・「真の自分の責任とは何か」
・「核となる正しい価値観をもっているか」
・「いかにして重大な決断をくだすか」
・「自分はなぜこの人生を選んだか」
出典:『ひるまないリーダー』J.L.バダラッコ 2014 翔泳社
経営者が、「自分の会社が、国民や社会のために何ができるのか」を考え抜けば、その答えが、電気メーカーや機械メーカーが、国民や社会のために、マスクを作ることもあり得るのです。
災害対応の機能不全が起こる7つの理由
3.11東日本大震災の時、私は東京電力の役員をしておりました。
正直、その当時は茫然自失して何をやればよいのか、全く判りませんでした。
その反省から、この日本防災デザインという会社を立ち上げました。
「3.11から日本は何を学んだのか?」という観点から、弊社では、『災害対応の効率性や実効性を阻む7つの要因』をまとめました。
1.災害に対する認識ができていなかった
→コロナウイルス、パンデミックに関する事前の認識、準備はあったのでしょうか? 個別インシデント別の準備でないとしたら、オールハザードの概念はあったのでしょうか?
2.指揮、統制がなかった。とれていなかった。
→コロナウイルスに対する指揮、統制の確立は万全でしょうか?
3.発災後に何をすべきかが分からなかった
→コロナウイルス事態の発災後、やるべきことを認識し、合理的、効率的な災害対応がなされてきたでしょうか?
4.災害に対応できる組織体制・運営システムを決めてなかった。機能しなかった
→コロナウイルスの事態に対応する最前線組織と非常災害対応本部の組織編制、役割機能、連絡・会議体のプロトコルは確立できているでしょうか?
5.自組織の中での一体感、連携ができなかった(自社内連携不足)
→「災害対応バリューチェーン」(弊社HPをご覧ください)の観点からすると、コロナウイルスの事態は、在宅勤務を含め後方支援業務のイノベーション余地が多くあります。社内の各部署が新たな改善に向けて全力で取り組んでいますでしょうか?
6.他組織との連携ができなかった。無かった(多機関連携不足)
→コロナウイルスの事態の本質的な解決は、医療関係者しかできません。企業で自己完結できないとしたら、今後の経営展開には、社外他機関との情報交換を含めた、緊密な連携が求められます。社外との連携は十分でしょうか?
7.被災の現状把握、情報共有ができなかった
→コロナウイルスの事態は時々刻々状況が変化します。その情報共有のシステム、会議体の運営は万全でしょうか?
今現在、各社様とも事業継続計画BCP(Business Continuity Plan)に基づき、事業継続管理BCM(Business Continuity Management)にとりくまれていると思いますが、下記の観点から、早急に見直ししておくことも大切だと思います。
今からできること(BCP,BCM見直しの観点)
1.リスク分析を見直す
→考えられるリスクを今の現状から抽出して、その影響度を考慮して、対応すべき優先順位を決める。
2.コロナウイルスに対するリスクシナリオを考察する
→上記のリスクから最悪のシナリオとは何かを再度考察する。
→最悪のシナリオとは、倒産、従業員の生命健康被害、クラスターになる 等
3.コロナ危機と同時発生の甚大災害(豪雨、台風、地震、テロ等)の発生を想定する。
→6・7月からは集中豪雨の発生が懸念される
4.リスクシナリオに対しての行動手順、タイムラインを再構築する
→見直ししたリスクシナリオを踏まえた行動手順を作成し、社内外へ周知徹底する。
5.現場の最前線(製造、営業販売、サービス提供部門、等の現場)と本部の運営体制(経営層)をもう一度見直しをする
上記の観点から、補う点があれば、すぐに見直すべきではないでしょうか。これらは合理的、効率的な災害対応のために必要となってきます。
未曾有の事態であり、弊社の知見を最大限にご提供するため、相談窓口を設けることをいたしました。
ご希望の方は、本メールにご返信くださいませ。
また、当社の代表の志村邦彦による経営者の方に対するヒアリングやレクチャーも実施しておりますのでご連絡いただければ幸いです。