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『新型コロナウィルス(COVID-19)は、CBRNE災害である①』特殊災害・緊急コラム第2弾

2020.04.08

今回の新型コロナウィルス(COVID-19)による世界の危機的状況は、
オールハザード対応の観点から見ると明らかにCBRNE災害だと言えます。

コロナに関する今の状況について、ここで敢えて突っ込んだ説明はしませんが、
CBRNE災害対応の基礎知識について情報共有することは大変重要だと考えたので解説したいと思います。

■CBRNE災害とは

CBRNE災害とは、
それぞれC(Chemical:化学的な)、B(Biological:生物学的な)、R(Radiological:放射線学の)、
N(Nuclear:核の)、E(Explosive:爆発性の)の頭文字をつなげたものです。

「それってテロリストが使用する大量破壊兵器?」と思われる方もいると思いますが、
テロリストが故意に仕掛けたもの(例:地下鉄サリン事件や前米同時多発テロ事件)であっても、
自然災害を起因として発生したもの(福島第一原発事故)も含めて総称したものを
CBRNE災害としてとらえることが正しい理解です。

今回のコロナ騒動が人為的なものであるかないかに関わらず顕在化している現象としては
明らかにCBRNE災害の中の“B”のカテゴリーに分類される災害と定義出来ます。

さて、B災害についてもう少し詳しく解説したいと思います。
B災害によってもたらされるハザード(危険因子)を疫学的危険因子(Epilological:疫学)、
または病理学的危険と呼び、ウィルス、バクテリア、リケッチア、生物毒などの
微生物が引き金となり健康に害を及ぼす災害として定義されております。

2001年に米国で発生した炭疽菌攻撃は、生物兵器による攻撃の一例ですが、
アメリカ国立医学図書館では、天然痘ウィルス、炭疽菌(細菌)、
ボツリヌス菌、ペスト、野兎病、エボラ出血熱などのウイルス性出血熱を
大量破壊兵器として分類しています。

近い将来COVID-19(新型コロナウィルス)もこちらに分類される可能性は十分あるのではないかと考えます。

■侵入・感染経路

 現在我が国においても感染拡大防止の観点から「咳エチケット・手洗い・うがい・手指消毒・環境消毒・換気」
「3密の回避」「不要不急の外出自粛」などがしきりに言われておりますが、
への主要な4つの侵入経路という概念を理解していれば
「なるほど、だからそうなんだ!」という納得感が更に得られると思います。4つの侵入経路を以下に示します;

吸入: 有害な蒸気、煙、ガス、浮遊粉塵、煙霧、エアロゾル、等を吸い込むこと。

摂取: 故意的あるいは偶発的に経口摂取すること。

接触: 皮膚などの露出面が固形、液体、あるいは気体の物質に触れること。

吸収: 物質が皮膚や眼の粘膜を介して体内に侵入すること。

医療従事者や消防などの現場最前線で活動する方々は、
上記4つの侵入経路を遮断するための適切な個人用保護具を正しく装着して
「眼、鼻、口、手首、首、耳、手、足の付け根、脇の下」などの重要な部位を守ることを考慮した活動が必要になることは言うまでもないことです。

■B(Biological:生物学的な)災害の指標

B災害を認識するための指標を知ることは初動対応を迅速に行うための重要な要素であると考えられます。
以下B災害の指標を示します;

広範囲に及ぶ被害者分布
症状が現れるまで時間がかかる

曖昧かつインフルエンザに似た症状

観測しにくい

異常な数の感染者

おそらく上記にあげたような指標は遅くとも2020年1月には出現していましたので(もしかしたらもっと早いかもしれません)、CBRNE災害対応におけるアウェアネス(認識)レベルの基礎知識が教育されていれば「これは間違いなくB災害だから、国も自治体も企業も国民も迅速な初動対応を取らなければ!!」という共通認識が生まれたのではないでしょうか。

次回は「各種バイアスがもたらす初動対応の遅れに」ついて解説したいと思います。

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