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災害対応をバリューチェーンで考える

2019.10.25

最近の災害と対応上の課題
台風15号、19号に象徴されるように、日本をとりまく最近の災害は、
 ・死者数、被害額、復旧の長期化等激甚化、
 ・激甚災害の頻度は増加傾向、
 ・激甚災害の種類も増加、性状(豪雨、強風、竜巻等)も多様化
しています。
また、首都直下型地震や南海トラフ地震等の甚大災害が、近い将来に高い確率で起こることも想定されています。

甚大災害は平等に降りかかる!
災害はその地域の誰にでも平等に訪れます。その時、あなたの会社や組織はどうしますか?

最近、企業の災害対応について、抜本的な見直しをはかりたいが、どのようにしたら良いかというご質問も受けることが多くなりました。
どの企業でも、甚大災害の可能性が高まる中で、自社の災害対応の実効性に、疑問もしくはギャップを感じていて、災害対応のあり方を抜本的に変更する(パラダイムシフトする)必要性を感じているものと思われます。

パラダイムシフト。その基本はエビデンス!

災害対応を抜本的に見直すとしたら、そのポイントは、「エビデンスに基づく」ということです。
災害対応に関する解説や論説を見ると、通常BCPの策定基準や、ISOの基準の視点から、述べられています。一方で、確たる論拠がないまま、個人の思いつきを散文的に述べられているものも散見します。それらに従って、災害対応の抜本改革が進むとは、とても思われません。経営者が意思決定するには、しかるべき論拠(エビデンス)が必要だからです。

改革のエビデンスを「バリューチェーン」に

BCPが多くの企業で採用されており、その中では、サプライチェーン確保を大切にしています。そのような観点から、サプライチェーンマネジメントに親和性の高い、バリューチェーン(Value Chain)の観点から、改革を検討してみてはいかがでしょうか?

ご案内のとおり、バリューチェーンを考えたのは、アメリカの経営学者マイケル・E・ポーター(Michael E. Porter 『競争優位の戦略』1985)です。

バリューチェーンとは、「材料や部品の入手」、
「商品の製造」、「出荷物流」、
「販売・マーケティング」、「サービス」までの
一連の流れを『主活動』とします。

また、その主活動の円滑な展開を支援する、
「経理や建物関係を含む全般管理(インフラストラクチャー)」、
「人事労務管理」、「技術開発」、「調達活動」を、『支援活動』として位置付けます。

個別の付加価値創造の集積が『最終的な付加価値』に連鎖

企業における個々の活動を、一つの価値(Value)の連鎖(Chain)として捉えて、
「付加価値は(利益、マージン)は、個々の活動のどこからでも生み出せ、
その集積が『最終的な付加価値』になる」という考え方です。

より多くの付加価値を生むために、事業を機能別に分類して、
それぞれの部分で、どのようなイノベーションを起こしたら、
他社との競争優位がはかれるかを分析する手法です。

『災害対応の効率化(コスト削減)、復旧の迅速化』のためには何をすべきか?

今回、災害対応のパラダイムシフト検討のためには、
この『最終的な付加価値』の部分を、『災害対応の効率化(コスト削減)、
復旧の迅速化』に置き換えてみました。

『主活動』の部分は、災害対応の第一線現場の流れであり、
『支援活動』の部分が、災害対策本部の活動になります。

災害対応の抜本改革を行うとすれば、『主活動』と『支援活動』に含まれる、
それぞれの個別の活動単位で、どのようなイノベーションを起せば、
『災害対応の効率化(コスト削減)、復旧の迅速化』に結びつくかを考える必要があります。

全社、全部門の参画が必要!

このようなバリューチェーンで表わしてみることで、
『災害対応の効率化(コスト削減)、復旧の迅速化』を推進するためには、
会社の全ての部門が関係することがわかります。

逆な見方をすれば、全ての部門が参画しなければ、
より高い『最終的な付加価値』は生まれないし、
パラダイムシフトもなしえないということにもなります。

ご参考になれば幸いです。

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